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竹澤 恭子

(c)Eisuke Miyoshi

演奏家

竹澤 恭子

ストラディヴァリウス1735年製ヴァイオリン「サマズィユ」

この度、日本音楽財団のご好意により、1735年製のアントニオ・ストラディヴァリウス「サマズィユ」を貸与いただき、デビュー30周年という節目にあたります記念リサイタルツアーなどのコンサートにて、この素晴らしい楽器で演奏させていただけます事、本当に幸せに思っております。 今夜のプログラムですが、第一にこの「サマズィユ」という楽器の特色を余すところ無くお伝え出来る様なものにしたいということを念頭に組ませていただきました。この楽器は、とても奥深く力強い魅力的な低音から、人間の声を感じさせる様な中音域、そして、輝かしくも暖かみを感じさせる高音域まで、高貴なオーラと共に幅広い表現のできる、まるでストラディヴァリウスとグァルネリ・デル・ジェスの魅力を合わせ持つ様な楽器と感じております。これまでコレクターのもとで大切に保管されていたこの楽器は、今まさに目覚めの時にあり、その可能性は無限大です。 そこで、このプログラムの軸となるヴァイオリン・ソナタの最高傑作とも言われるベートーヴェンの「クロイツェル」ソナタやフランクのソナタでは、この楽器の表現の幅の広さや豊かさ、そして、プログラム冒頭のユダヤ人作曲家ブロッホの濃密でスピリチュアルで祈りの音楽である「バール・シェム」では、この「サマズィユ」の最大の魅力である低音や濃厚な音色を、また、ワーグナーやクライスラーの小品ではロマンティックな人間の感情の機微を、人間の肉声を感じさせる「サマズィユ」の音色でお楽しみいただけたらと思っております。

(2019年3月5日開催 日本音楽財団演奏会プログラム掲載)

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