VOICES
演奏家
ストラディヴァリウス1736年製ヴァイオリン「ムンツ」
思い起こせば2007年、私はそれまで使用していた楽器に限界を感じ、日本音楽財団に楽器の貸与を申請しました。同年4月に楽器貸与委員会が開催され、オーディションとして委員長であるロリン・マゼール氏の前で演奏したことが昨日のことのように思い起こされます。同年11月に、光栄にもストラディヴァリウス1736年製ヴァイオリン「ムンツ」の貸与が始まりました。初めは自分の思い通りの音を出そうとしても上手くいかず、中々馴染めずにいました。しかし、一緒に過ごす日が増すにつれ、お互いの掛け合いが大切であることを「ムンツ」に教えてもらい、今では低音も高音も大変暖かく、まろやかで、美しく輝きのある音で演奏できるようになりました。今でも私は、「ムンツ」に数多くのことを日々教えられています。このような貴重な機会を与えて下さっている日本音楽財団に深く感謝しております。
(2013年10月13日開催 日本音楽財団演奏会プログラム掲載抜粋)