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Stradivarius

ストラディヴァリウス1696年製チェロ

ロード・アイレスフォード

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来歴

現存するアントニオ・ストラディヴァリ作のチェロは約50挺と言われている。1780年頃、このチェロは、有名なヴァイオリニストであったフェリーチェ・デ・ジャルディーニ(1716-1796)によってイタリアからロンドンに持ち込まれ、同氏からアマチュア奏者として知られていたアイレスフォード卿に売り渡された。その後、アイレスフォード家に約100年間所有されていたことからこの名前が付けられた。1875年にロンドンの楽器商ジョージ・ハートに売却され、1880年に同氏からヒース男爵に売却された。しかし、1882年にジョージ・ハートによって買い戻され、リチャード・ベネット氏に売却された。同氏は、後年、クレモナの名器から成るコレクションを形成し、「メシア」、「アラード」を含む有名なストラディヴァリウスも所有していた。ベネット氏はチェロの演奏はしなかったことからこの楽器を手放し、1892年にW.E.ヒル&サンズに販売を託した。1898年まで同楽器商に所有された後、再びジョージ・ハートに売り渡され、次にブエノスアイレスのキーン氏に売却された。1923年にはパリのモコテル氏に買い取られ、後に、シュトゥットガルトのハンマ氏の仲介によってドイツで売却された。この楽器は後にフィンランドのヴィボルグに住むハリー・ウォール氏のコレクションに加わった。第二次世界大戦後、同氏の所有する多くの楽器はニューヨークの楽器商エミール・ハーマンに売却され、この楽器は、1946年に当時フィラデルフィアに住んでいた世界的著名なチェロ奏者グレゴール・ピアティゴルスキー(1903-1976)の所有となった。1950年から1965年にかけて、ヤーノシュ・シュタルケル(1924-2013)が使用することになり、この楽器で録音を35回行った。1966年、ベルンの弦楽器職人アンリ・ヴェロの手に渡り、その後同家によって保管されていた。日本音楽財団は2003年6月にヴェロ家からこの楽器を購入した。

特徴

裏板はカエデの二枚板で、小幅で中程度の濃さの杢目が見られ、低音側の下方の端にはストラディヴァリ自身によって小さな接ぎ木が足されている。横板とスクロールにも同様の杢目が見られる。表板はスプルースの五枚板で、中程度またはやや広い幅の木目である。オレンジと茶の中間色のニスが全体に塗られており、表板はより深みのある風合いである。弾き易さを考慮して、本体の丈がオリジナルから若干短く調節されている。これは腕利きの弦楽器職人であったジャン・ヴェロによって見事に施され、見た目にはほとんど判らない仕上がりである。

証明書

ストラディヴァリウス1696年製チェロ「ロード・アイレスフォード」

1966年10月12日付 Rembert Wurlitzer, Inc, Henry Werro宛て
1959年9月28日付 Emil Herrrmann, Hugh W. Long宛て
1946年10月22日付 W. E. Hill & Sons, Gregor Piatigorsky宛て

参考資料等

ストラディヴァリウス1696年製チェロ「ロード・アイレスフォード」

2003年4月23日付 Andrew Hill, 日本音楽財団宛てレポート
1946年10月21日付 William E. Hill & Sons, Gregor Piatigorsky宛て来歴書簡

“Violin Iconography of Antonio Stradivari: 1644-1737 ”by H.K. Goodkind (P261-262)
“Antonio Stradivari His Life of Work” by W. E. Hill (P116-118)
“How Many Strads?” by Doring (P89-91)

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