保有楽器一覧

Language : 日本語  ENGLISH

Stradivarius

ストラディヴァリウス1736年製ヴァイオリン

ムンツ

  • ムンツ
  • ムンツ

来歴

英国バーミンガムの有名な収集家でアマチュアのヴァイオリン奏者でもあったH.M.ムンツ氏が所有していたことから、この名が付けられた。ストラディヴァリの末の息子パオロによって保管されていたヴァイオリンのひとつで、1755年にコジオ・ディ・サラブエ伯爵に売り渡された。1827年にルイジ・タリシオがこの楽器を入手し、1831年にパリの楽器商ガンに売却した。翌年、フランスのアマチュア奏者ダミアン伯爵が入手し、約30年間所有していた。1862年にガン&ベルナルデルを通してアントワープの有名な収集家チャールズ・ウィモレット氏に売却された。1872年に英国バーミンガムのH.M.ムンツ氏はこのヴァイオリンをガン&ベルナルデルから購入した。1886年にW.E.ヒル&サンズはこの楽器を購入した後、ウィルトン伯爵に、続いて1889年にアルフレッド・サスーン氏に売却した。サスーン氏の死後、このヴァイオリンはヒギンス氏の手に渡った。R.A.バウアー氏は亡くなったヒギンス氏の相続人からこのヴァイオリンを購入し、その後、アーヘンのゲオルク・タルボット博士がバウアー氏からこの楽器を購入し、1937年にクレモナの楽器展に出品した。その後、米国のアマチュア・ヴァイオリン奏者で収集家のエフレイムP.エングルマン(1911-2015)博士の手に渡り、次に著名なヴィルトゥオーゾでシカゴ交響楽団の首席奏者でもあったスティーヴン・スターリク、ヴァイオリン奏者で楽器収集家のハワード・ゴットリーブの元に渡った。日本音楽財団は1997年7月にこのヴァイオリンを購入した。

特徴

裏板はカエデの二枚板で、中程度の幅の異なる水平な杢目が見られる。横板とスクロールにも同様の杢目が見られる。表板はスプルースの二枚板で、木目の幅は中程度、両端に向かってより幅広となっており、特に低音側は顕著である。透明なオレンジと金の中間色のニスが楽器のほぼ全体を覆っている。晩年の作品によく見られる特徴として、f字孔の位置が左右非対称である。内部に貼られたラベルにはストラディヴァリ本人の手書きで「d’anni 92 (92歳)」と書かれている。

証明書

ストラディヴァリウス1736年製ヴァイオリン「ムンツ」

1972年11月21日付 Walter Hamma & Co. Stuttgart (Walter Hamma), Jacques Francais宛て
1972年10月24日付 Jacques Francais, Howard Gottlieb宛て
1972年9月28日付 Jacques Francais, Howard Gottlieb宛て(コピー)
1969年4月8日付 Rembert Wurlitzer Inc., Steven Staryk宛て(コピー)
1950年2月6日付 Hamma & Co. Stuttgart

参考資料等

ストラディヴァリウス1736年製ヴァイオリン「ムンツ」

1997年6月9日付 Andrew Hill,日本音楽財団宛てレポート
1994年12月21日付 Bein & Fushi Inc. 日本音楽財団宛てレポート
1875年1月23日付 H. M. Muntzからの書簡

“Antonio Stradivari: The Cremona Exhibition of 1987” by Charles Beare (P294)
“How Many Strads?” by Doring (P335, P336)

page top