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Stradivarius

ストラディヴァリウス1735年製ヴァイオリン

サマズィユ

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来歴

この楽器は1836年にイタリアの楽器商でコレクターのルイジ・タリシオによってフランスに持ち込まれ、リヨンの楽器商ピエール&イッポリット・シルヴェストルに売却された。彼らはアマチュア奏者で名器の収集家でもあったシャポネ伯爵に売却した。1870年代にこの楽器はH.B.マートンによって英国に持ち込まれ、ウィリアム・ピッカリング氏の手に渡り、後にクレメンツ氏の元に渡った。W.E.ヒル&サンズは同氏からこの楽器を購入し、1901年コペンハーゲンのヴァイオリニスト、アーサー・ハートマン(1881-1956)に売却し、1903年にボルドーのジョセフ・サマズィユ夫人に売却した。このことから、このヴァイオリンは「サマズィユ」と呼ばれることとなった。1923年、ヴァイオリンのヴィルトゥオーゾ、ミッシャ・エルマン(1891-1967)の手に渡り、彼は1926年に手紙の中で、「ストラディヴァリウスの中で最高級の音色を持つ楽器」と綴っている。後に、米国の弁護士レイモンド・ピトケアン氏がこのヴァイオリンを所有することになったが、1981年にニューヨークで開催されたオークションでこの楽器を落札したオランダの楽器商マックス・メラーがヨーロッパに持ち帰った。1983年以降、このヴァイオリンはスイス在住の個人に所有されていた。日本音楽財団は2017年8月に岡本夫妻の寛大な寄付と日本財団の助成によってこのヴァイオリンを購入した。

特徴

裏板はカエデの二枚板で、薄らと幅の広い杢目が見られる。横板には中程度の幅の杢目が見られる。スクロールにはほとんど杢目は見られない。表板はスプルースの二枚板で、両端に行くほど木目の幅は広い。ニスは、下地が金色、その上に深みのある赤色が広がっている。

証明書

ストラディヴァリウス1735年製ヴァイオリン「サマズィユ」

2017年8月11日付 Roland Baumgartner, 日本音楽財団宛て
1923年6月15日付 Albert Caressa Succ, Mischa Elman宛て

参考資料等

ストラディヴァリウス1735年製ヴァイオリン「サマズィユ」

2017年7月5日付 Andrew Hill, 日本音楽財団宛てレポート
1926年12月29日付 Mischa Elmanの手紙
1903年5月8日付 W. E. Hill & Sons, J. Samazeuilh宛て手紙

“Antonio Stradivari: The Cremona Exhibition of 1987” by Charles Beare P288-P293

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