保有楽器一覧

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Stradivarius

ストラディヴァリウス1725年製ヴァイオリン

ウィルヘルミ

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来歴

このヴァイオリンはドイツの著名なヴァイオリン奏者アウグスト・ウィルヘルミ(1845-1908)によって演奏されていたことからこの名前が付けられた。この楽器の来歴はパリの楽器商ジャン・バティスト・ヴィヨームまで遡る。1855年、ヴィヨームはボッホミュールというデュッセルドルフの奏者にこの楽器を売却し、この奏者から、法学博士でありアマチュアのヴァイオリン奏者でもあったウィルヘルミの父親が1866年に息子のために購入した。ウィルヘルミは所有していた多くの名器の中でもこのストラディヴァリウスを特に気に入って演奏していたが、公での演奏活動を休止して暫く経った1896年、「演奏者としてベストなうちに引退したい」と言って、50代の若さでこの楽器を手放した。1896年、シンシナティにいたウィルヘルミの弟子、ヒューゴ・クーパーシュミットが買い受け、彼は生涯にわたりこの楽器を所有し続けた。後に、ルドルフ・ウーリッツァー社がボルチモアのアマチュア奏者J.E.グライナー氏に売却し、1938年にモールズビー・キンバル氏に、1944年に米国の実業家であり発明家、そして美術品収集家でもあったトーマス・ファウィック氏に売却した。この楽器は、1969年にファウィック氏からヘンリク・カストン氏、同年にジェリー・カステローネ氏にわたり、1970年にゲオ・ゲイジ氏に売り渡され、1971年にW.E.ヒル&サンズに売却された。この楽器は同楽器商から極東の収集家に売却され、香港で大切に保管されていた。日本音楽財団は2001年6月にこの楽器を購入した。

特徴

裏板はカエデの二枚板で、板の継ぎ目から下に向かって傾斜した明瞭な小幅の杢目が見られる。横板にも同様の杢目が見られる。スクロールにはより幅広の杢目が見られる。表板はスプルースの二枚板で、木目は場所によって小幅からやや広めと、様々である。ニスは鮮やかな赤と茶の中間色である。

証明書

ストラディヴァリウス1725年製ヴァイオリン「ウィルヘルミ」

1972年3月28日付 W. E. Hill & Sons, Ro
1944年10月6日付 Rudolph Wurlitzer Co., Thomas Fawick宛て
1921年6月3日付 W. E. Hill & Sons, Maestro Wurlitzer宛て

参考資料等

ストラディヴァリウス1725年製ヴァイオリン「ウィルヘルミ」

2000年4月17日付 Andrew Hill, 日本音楽財団宛てメモ
2000年4月12日付 Andrew Hill, 日本音楽財団宛てレポート
1921年6月3日付 W. M. EBSWORTH Hill, Wurlitzer宛て手紙

“How many Strads?” by Doring (P260)
“Antonio Stradivari His Life of Work” by W. E. Hill (P69)
“Violin Iconography of Antonio Stradivari: 1644-1737” by H. K. Goodkind (P582, P583)

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