保有楽器一覧

Language : 日本語  ENGLISH

as of April 2019

ストラディヴァリウス

「パガニーニ・クァルテット」

1680年製ヴァイオリン「パガニーニ」

1727年製ヴァイオリン「パガニーニ」

1731年製ヴィオラ「パガニーニ」

1736年製チェロ「パガニーニ」

アントニオ・ストラディヴァリ(1644〜1737)製作による楽器で構成されたクァルテットは、世界で 6 セットの存在が知られている。このクァルテットはその一つであり、19世紀の伝説的なヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ(1782〜1840)が所有していたことでも有名である。日本音楽財団は1994年にアメリカ・ワシントンD.C.のコーコラン美術館よりこのクァルテットを購入した。同美術館にこのクァルテットを寄贈した米国のアンナ・E・クラーク夫人の意志を受け継ぎ、当財団は4挺を常にセットとして四重奏団に貸与している。

長期貸与者
・1995年  9月 - 2013年  7月東京クヮルテット
・2013年12月 - 2017年  8月ハーゲン・クァルテット
・2017年  9月 - 2018年11月クレモナ・クァルテット

ストラディヴァリウス 1700年製ヴァイオリン

「ドラゴネッティ」

Stradivarius 1700 ViolinDragonetti

このヴァイオリンはネックの部分までも製作当時のものが使用されているとても貴重な楽器である。著名なイタリアのコントラバス奏者ドメニコ・ドラゴネッティ(1763〜1846)によって大切に所有されていたことから現在この名前で呼ばれている。日本音楽財団の購入直前には、世界的に名の知られているヴァイオリン奏者、フランク・ペーター・ツィンマーマン(1965〜)によって演奏されていた。

長期貸与者
・2006年4月 - 2006年10月木嶋真優
・2009年5月 - ヴェロニカ・エーベルレ

ストラディヴァリウス 1702年製ヴァイオリン

「ロード・ニューランズ」

Stradivarius 1702 ViolinLord Newlands

イギリスのニューランズ卿(1890〜1929)によって生涯大切にされていたため、現在この名前で呼ばれている。1964年から1982年にこの楽器を保管していたロンドンのヒル商会が、1973年にバースの古楽器名器展にて、当時のヒル商会を代表する楽器としてこのヴァイオリンを展示していた。楽器の保存状態が優れているだけでなく、その音質の良さでも知られており、以前このヴァイオリンを演奏したアイザック・スターン(1920〜2001)は、自身が所有しているグァルネリ・デル・ジェスと同じパワーを感じると語ったという。

長期貸与者
・2003年1月 - 2009年3月安永徹
・2009年4月 - 2011年1月セルゲイ・ハチャトゥリアン
・2012年4月 - 2014年6月レイ・チェン
・2015年1月 - キム・スーヤン

ストラディヴァリウス 1708年製ヴァイオリン

「ハギンス」

Stradivarius 1708 ViolinHuggins

このヴァイオリンはかつて、有名な楽器商ニコラス・ヴィヨームが所有していた。その後、イギリスの天文学者であるウィリアム・ハギンス卿(1824〜1910)が、1880 年頃ウィーンの皇帝からこの楽器を購入し、所有していたことから「ハギンス」と呼ばれている。色艶も鮮やかで保存状態に優れている。日本音楽財団は1997年よりベルギー・エリザベート王妃国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門優勝者に副賞として次のコンクールまでこの楽器を貸与し、コンクールの発展と演奏家の技術向上に寄与している。

長期貸与者
・1997年6月 - 1999年8月ニコライ・ズナイダー
・2001年5月 - 2005年2月バイバ・スクリデ
・2005年5月 - 2009年4月セルゲイ・ハチャトゥリアン
・2009年6月 - 2010年9月レイ・チェン
・2012年5月 - 2015年5月アンドレイ・バラーノフ
・2015年6月 - 2019年3月イム・ジヨン

ストラディヴァリウス 1709年製ヴァイオリン

「エングルマン」

Stradivarius 1709 ViolinEngleman

このヴァイオリンは、アメリカ海軍士官ヤング中佐が第二次世界大戦中に戦死するまで、約150年間ヤング家に大切に保管されていたため、保存状態が優れている。当財団が保有する以前は、アメリカのアマチュア・ヴァイオリン奏者で収集家のエフレイム・エングルマンが所有していたため、現在はこの名前で親しまれている。

長期貸与者
・1996年  8月 - 2001年10月渡辺玲子
・2001年11月 - 2012年  4月リサ・バティアシュヴィリ
・2012年11月 - 2014年  7月ヴィルデ・フラング
・2016年12月 - ベンジャミン・ベイルマン

ストラディヴァリウス 1710年製ヴァイオリン

「カンポセリーチェ」

Stradivarius 1710 ViolinCamposelice

このヴァイオリンは、1880年代にフランスのカンポセリーチェ公爵の手に渡ったことから 「カンポセリーチェ」 と呼ばれている。1937年には、クレモナ古楽器名器展に当時この楽器を所有していたキューネ博士のコレクションとして展示された。日本音楽財団が購入する前は、30年間以上ベルギーのアマチュア奏者のもとで大切に保管されていた。

長期貸与者
・2005年3月 - 2010年  3月竹澤恭子
・2010年3月 - 2010年10月シン・ヒョンス
・2012年2月 - スヴェトリン・ルセフ

ストラディヴァリウス 1714年製ヴァイオリン

「ドルフィン」

Stradivarius 1714 ViolinDolphin

1800年代後半にこの楽器を所有していたジョージ・ハートは、光沢の美しい裏板のニスが優美な"イルカ"を思わせることから「ドルフィン」という名前を付けた。音色並びに楽器の保存状態が優れており、1715年製「アラード」、1716年製「メシア」に並ぶ世界3大ストラディヴァリウスの一つと呼ばれている。また、巨匠ヤッシャ・ハイフェッツ(1901〜1987)が愛用していたことでも知られている。

長期貸与者
・2000年8月 - 諏訪内晶子

ストラディヴァリウス 1715年製ヴァイオリン

「ヨアヒム」

Stradivarius 1715 ViolinJoachim

この楽器は、有名なハンガリーのヴァイオリン奏者、ヨーゼフ・ヨアヒム(1831〜1907)が所有していたストラディヴァリウス1715年製ヴァイオリン3挺の内の1つである。また、ヨアヒムからヴァイオリンのレッスンを受けていた彼の兄弟の孫娘アディラ・アラニに遺贈されたことから「ヨアヒム=アラニ」という名前でも知られている。日本音楽財団が購入するまでは、アラニ家によって代々受け継がれてきた。

長期貸与者
・2001年  4月 - 2009年  6月庄司紗矢香
・2009年11月 - 2010年11月ゲザ・ホッス=レゴツキ
・2012年  4月 - 2013年  7月リサ・バティアシュヴィリ
・2014年  6月 - レイ・チェン

ストラディヴァリウス 1716年製ヴァイオリン

「ブース」

Stradivarius 1716 ViolinBooth

1855年頃にイギリスのブース夫人が所有していたため、現在の名が付けられている。彼女はヴァイオリンの才能を発揮した2人の息子たちのためにストラディヴァリウスのクァルテットを形成しようと試み、この楽器を購入した。1931年にアメリカの名高いヴァイオリン奏者ミッシャ・ミシャコフ(1896〜1981)の手にわたり、1961年にはニューヨークのホッティンガー・コレクションの一部となった。音色の美しさ、音の力強さにおいて知名度が高く、保存状態も優れている。

長期貸与者
・2000年3月 - 2004年10月ユリア・フィッシャー
・2005年2月 - 2006年 8月佐藤俊介
・2006年9月 - アラベラ・美歩・シュタインバッハー

ストラディヴァリウス 1717年製ヴァイオリン

「サセルノ」

Stradivarius 1717 ViolinSasserno

1845年からフランスのサセルノ伯爵が所有していたことからこの名前で呼ばれている。1894年にはヴァイオリン奏者のオットー・ペイニガーが所有し、その後にイギリスで有名な醸造所を所有していたピカリング・フィップスの手に渡った。1906年にはイギリスの産業資本家サマーズが所有し、それ以後90年以上にわたり同家で大切に保管されていたため、製作時のままのニスが多く残っており保存状態が非常に優れている。

長期貸与者
・1999年5月 - 2012年9月ヴィヴィアン・ハーグナー
・2013年2月 - 2019年2月アリーナ・ポゴストキーナ
・2019年3月 - イム・ジヨン

ストラディヴァリウス 1722年製ヴァイオリン

「ジュピター」

Stradivarius 1722 ViolinJupiter

このヴァイオリンは、1800年頃にイギリスの収集家ジェームス・ゴディングによって「ジュピター」と名付けられたといわれている。この楽器は大切に使用されてきたため保存状態が素晴らしく、オリジナルのニスも全体に残っている。これまでに、五嶋みどり(1971~)やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターの樫本大進(1979~)等が演奏している。

長期貸与者
・1998年  6月 - 2006年  5月樫本大進
・2006年12月 - 2009年11月エリック・シューマン
・2009年11月 - 2011年  1月マンリコ・パドヴァーニ
・2013年12月 - 五嶋龍

ストラディヴァリウス 1725年製ヴァイオリン

「ウィルヘルミ」

Stradivarius 1725 ViolinWilhelmj

1866年以降、約30年間この楽器を所有していた著名なドイツのヴァイオリン奏者、アウグスト・ウィルヘルミ(1845~1908)に因んでこの名前が付けられた。ウィルヘルミの所有していた数多くのヴァイオリンのうち最も愛用されていた楽器だったが、「演奏者として華のあるうちに引退したい」との理由で、50代の若さで楽器を手放したという。

長期貸与者
・2001年10月 - 2005年  2月佐藤俊介
・2005年  2月 - 2010年11月バイバ・スクリデ

ストラディヴァリウス 1735年製ヴァイオリン

「サマズィユ」

Stradivarius 1735 ViolinSamazeuilh

この楽器は1836年、楽器商のタリシオによってイタリアからフランスへ持ち込まれ、一時リヨンのシャポネー伯爵が所有していた。しかし、19世紀の終わりにロンドンのヒル商会の手に渡り、1901年、ヴァイオリニストのアーサー・ハートマン(1881~1956)へ売却された。1909年にはサマズィユ家が購入し、所有していたことから「サマズィユ」と呼ばれている。1923年に楽器を所有することになったヴァイオリンの巨匠ミッシャ・エルマン(1891〜1967)は「ストラディヴァリウスの中で最高の音色を持つ楽器の1つ」と1926年に手紙に記している。楽器の内側のラベルには91歳(製作者の年齢)と書かれている。岡本夫妻のご寄付と日本財団からの助成を合わせて、2017年8月に購入した。

ストラディヴァリウス 1736年製ヴァイオリン

「ムンツ」

Stradivarius 1736 ViolinMuntz

楽器の内側に貼られたラベルにはストラディヴァリ本人の手書きで「d'anni 92(92歳)」と書かれている珍しい楽器である。透明な黄褐色のニスが楽器のほぼ全体に綺麗に残っており、楽器の保存状態も音色も格段に優れている。1874年以降、英国の収集家ムンツが所有していたため、「ムンツ」と呼ばれている。1737年に死去したストラディヴァリが、最晩年に製作した楽器の一つとして知られている。

長期貸与者
・2002年10月 - 2004年  8月ジュディス・インゴルフソン
・2005年  5月 - 2006年  9月アラベラ・美歩・シュタインバッハー
・2007年11月 - 有希・マヌエラ・ヤンケ

ストラディヴァリウス 1696年製チェロ

「ロード・アイレスフォード」

Stradivarius 1696 CelloLord Aylesford

イギリスのアマチュア奏者アイレスフォード卿が1780年代初期にイタリアの名高いヴァイオリン奏者フェリーチェ・デ・ジャルディーニ(1716〜1796)から購入し、その後アイレスフォード家に約100年間所有されていたことからこの名前が付けられた。1946年にはアメリカ・フィラデルフィア在住の世界的に著名なチェロ奏者グレゴール・ピアティゴルスキー(1903〜1976)の手に渡り、1950年から1965年には巨匠ヤーノシュ・シュタルケル(1924〜2013)によって演奏会や35枚のレコーディングのために使用された。

長期貸与者
・2004年1月 - 2014年1月石坂団十郎
・2014年1月 - パブロ・フェランデス

ストラディヴァリウス 1730年製チェロ

「フォイアマン」

Stradivarius 1730 CelloFeuermann

アントニオ・ストラディヴァリが製作したうち、現存するチェロは、約50挺といわれている。「フォイアマン」は普通のチェロと比べ、楽器本体の部分が細長い点が特徴である。世界的に著名なチェロ奏者、エマヌエル・フォイアマン(1902~1942)が1934年から長年にわたり使用したことから、この名前で呼ばれている。エマヌエル・フォイアマンは、齋藤秀雄(1902~1974)の師として日本でもよく知られている。

長期貸与者
・1998年1月 - 2011年5月スティーヴン・イッサーリス
・2014年1月 - 2019年1月石坂団十郎

グァルネリ・デル・ジェス 1736年製ヴァイオリン

「ムンツ」

Guarneri del Gesu 1736 ViolinMuntz

アントニオ・ストラディヴァリと並び称される名工、バルトロメオ・ジュゼッペ・グァルネリ(グァルネリ・デル・ジェス)(1698〜1744)が製作したヴァイオリン。イギリスの収集家ムンツが一時期所有していたことから、この名前で親しまれている。日本音楽財団はストラディヴァリとデル・ジェスによって同じ1736年に製作された2挺の「ムンツ」を保有しており、それぞれの楽器の音色の特色を聴き比べるために、両方の楽器を使用したコンサートを開催している。

長期貸与者
・1995年  4月 - 1997年  7月アン・アキコ・マイヤース
・1998年  3月 - 2000年  7月パヴェル・バーマン
・2000年  8月 - 2002年  2月五明カレン

グァルネリ・デル・ジェス 1740年製ヴァイオリン

「イザイ」

Guarneri del Gesu 1740 ViolinYsaye

この楽器はベルギーの国家的ヴァイオリン奏者、ウジェーヌ・イザイ(1858〜1931)が所有していたことからこの名前が付けられた。楽器の中には小さなラベルが貼られ、赤いインクで「このデル・ジェスは私の生涯を通じて忠実なパートナーだった。イザイ1928」とフランス語で書かれている。イザイの国葬の際には棺の前をクッションに載せられ行進した名器としても知られ、その後、1965年に巨匠アイザック・スターン(1920〜2001)の所有となり生涯愛用された。日本音楽財団は1998年にこの楽器をスターンから購入した。

長期貸与者
・1998年  5月 - 2001年9月アイザック・スターン(委託演奏)
・2003年  5月 - 2009年6月ピンカス・ズーカーマン(委託演奏)
・2010年10月 - セルゲイ・ハチャトゥリアン

Photo by Shinichi Yokoyama

page top